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アナウンスのトレーニング/原稿の意味を理解するための黙読

原稿の意味を理解するための黙読

 ある原稿を声に出して読む練習をする前の作業、「黙読」について解説する。

黙読の意味

 声に出さずに原稿を読むことを黙読という。
黙読は、自分の発音しにくい言葉や、聞き慣れない表現を原稿の中から事前に拾い出しておくことによって、躓くことなくなめらかな読み上げを実現することはもちろん、文章全体の意味を理解するための、大変重要な手順である。
字面が同じ文章でも、作者の表現したい内容が異なる場合があることは、前項で説明したとおりだ。
「行間を読む」という言葉がある。これは、文章を良く読み、考えることによって、文字として書かれていない内容を読み取るといった意味で用いられる。
放送におけるアナウンサーの役割は、事実を伝えることを主とするため、行間を読み、それを加味する必要はない。
文章に書かれたことを隅々まで良く読んで、そこから明らかに分かる作者の意図を、できる限り正確に読み取り、調子の変化や間の取り方を工夫して、、それを表現すればいい。

黙読の大切さを理解するための例

 具体的に例を挙げて解説する。
【例文】
 祖母は、大変花が好きで、私の家の庭には、色とりどりの花々が飢えられ、季節の移ろいを知らせてくれた。
だが、そんな美しい花々も、私の気分を憂鬱なものにさせることがある。

 上の例は二つの文からなっている。
仮に、花が好きな読み手が、一つ目の文だけを見て、それを読み始めてしまったら、精一杯の明るい調子で言葉を発してしまうかも知れない。
しかし、二つ目の文を読むと、どうやらこの話は、筆者の憂鬱を表現するための文章である事が読み取れる。
黙読によってこの情報を事前に得ていれば、精一杯の明るさで、最初の文を読んでしまうことはなかろう。
憂鬱を表現する文章全体を通して、暗い調子で読む必要があるわけではない。むしろ、意味を正しく伝えるためには、誇張しないことが大事だ。
大切なのは、全体の雰囲気が暗い文章を、明るい雰囲気で読むのは好ましくないということだ。

原稿の加工

 黙読である程度意味をつかむことができたら、可能であれば原稿をコピーして、オリジナルを残した上で、自分が読みやすいよう、目印を書き込む。
どのようなときにどのような目印を使うかについては、筆者は体系立てられた決まりの有無を知らないので、自分で決めたルールを使うか、注意書きを示す印を付けて、例えば、##ここは落ち着いた雰囲気で##のように、具体的な内容を書き込んでしまう方法もある。
紙の原稿では難しいが、電子データの場合は、オリジナルを残してコピーを作り、改行の位置を調整したり、行間を直したりするなども効果的だ。

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