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音とスタジオ用音響機材/コネクターの種類とケーブルに関する基礎知識

コネクターの種類とケーブルに関する基礎知識

目次

バランス(平衡)とアンバランス(負平衡)

 音声を電気信号に変えて送る場合、必ず + (プラス)と - (マイナス)の2本の線が必要になる。また、それぞれの機器の外装の金属部分を太い線で接続し、繋ぎ合わせた機器全体の外装金属部分を同じ電位にすることで外部からのノイズの影響を受けないようにしなければならない。この金属部分を結ぶ線をアースライン(GND LINE)という。
 業務用音響機器では+ と - の線、その周囲に編組されたGNDラインをケーブル条にしたケーブルを使用して3本の線で音声を伝送する。これをバランス伝送と言う。
 バランス伝送は外部からの影響を受けにくく、ケーブルを数100m以上延長しても音質の劣化が少ないため、ホールや屋外競技場、放送局等の音声伝送は全てバランス伝送である。また、ノイズの入りやすいマイクロフォンケーブルや高級オーディオ機器、エンジンからのノイズが多いカーオーディオでは周囲のノイズの影響を避けるためにバランス伝送回路を使用する場合がある。
 これに対してテレビやパソコンのオーディオ部、コンシューマー用のオーディオコンポーネントや電子楽器では + 側の線を中心にしてその周囲に編組シールドを巻いた単心シールドケーブルを使用する。この場合は - 側はGNDと共通になり、伝送する線を1本減らすことができるために接続回路が簡単になる。
 このようなGNDラインと音声信号の片側とを共通にして信号を送る方法をアンバランス伝送と言う。
 アンバランス伝送はGNDラインと音声信号の片側とで共通部分を使用するためにノイズの影響を受けやすい。
  伝送距離が短ければアンバランス伝送はアンプの入出力回路が単純であるにも関わらず音質劣化も少なくかえって高音質であるためにほとんどのオーディオ機器はアンバランス伝送を使用している。
 アンバランス伝送はバランス伝送に比べケーブルの長さや材質、接続コネクターの状態等影響を受けやすいためケーブルを積極的に代えて好みの音作りをする場合もあり、1m数万円もする高価なケーブルも販売されている。
 オーディオ伝送においては+側をホット・-側をコールドと呼ぶことが一般的である。

コネクター

 ケーブルを機器に接続したりケーブルを延長するためにケーブルどうしを接続する場合に使用する。
ヘッドホンプラグやパソコンなどのオーディオ接続用のプラグ・ジャックもコネクターと呼ぶ
 3.5mmミニプラグ・ジャック・6.3mm標準フォーンプラグ・ジャック・XLRキャノンコネクタ等が多く使用される。この他に古い放送機器では日本独自のBTSコネクターやドイツのDINコネクタ等も使われていた。(現在、楽器用のMIDI信号を送るコネクターはDIN5PINのコネクターである。)
 3.5mmと6.3mmのプラグ・ジャックは2極と3局の物があり、2極の物は電極が先端部のチップ(tip)と周囲のスリーブ(sleeve)に分かれており、3極の物は
チップとスリーブとの間に輪になったリング(ring)がある。
2極の物をTSフォーンプラグ・ジャック、3極の物をTRSフォーンプラグ・ジャックと言う。
 接続の仕方は、2極の物はアンバランス接続用でチップがホット・スリーブがGND(コールドと共通)である。
3極の物はバランス接続用でチップがホット・リングがコールド・スリーブがGNDである。
ステレオヘッドホンの接続では、チップがLホット(左ホット)・リングがRホット(右ホッット)・スリーブが共通のコールドである。
 線が色分けしてある場合は、ホッットは赤や黄色等暖色系を使い、コールドは青や灰色等寒色系を使用する。
ステレオ伝送では右ホットが赤、左ホッットは赤以外の色を使用する。
 プラグやジャックの電極の部分に金鍍金をした物がオーディオ用としては販売されているが、鍍金が剥がれると音質が変わってしまうために業務用機器で使用されるプラグはクロームの物(銀色に見える)が多い。
☆ (2チャンネルステレオでは左右の接続の場合、上が左、赤色は右というように決められている。3.5mmプラグでは最近、4極の特殊プラグを使用してヘッドホンとマ+イクを1本のプラグで兼ねるスマートホンの規格がパソコンでも使用されるようになりはじめているがここでは省略する。)
 3.5mmプラグはトランジスタラジオのイヤフォンや小型の音響機器、ウォークマン等のヘッドホンで使用されて普及した。
 6.3mmTSプラグはエレキギターやシンセサイザーのケーブル両端に使用されたために普及した。
 6.3mmのTRSプラグを使用したバランスケーブルはスタジオ用のミキシングコンソールやPC用のマイクアンプの出力や各種アウトボードで使用されている。
 RCAピンプラグ・ジャックは古くからオーディオ機器の接続に使用されているために今でも一般的なオーディオアンプなどはこのコネクターが使われている。業務用音響機器と一般のコンシューマー用オーディオアンプなどを接続する目的で片側がRCAピンプラグ、もう一方がTSフォーンプラグなどのケーブルも販売されている。また、RCAピンプラグ・ジャックでは業務用仕様に耐えられるほどの製品もあり、これらはTSプラグ並みの機械的強度を持っている物も登場している。
 XLR(キャノン)コネクターはもともと米のITT-CANON社の規格の中のXLRというコネクターで1ピンから7ピンの物がある。
 ITTではその使用法について、1ピンがGNDであると言うことだけ決めている。1ピンはGNDとして使用するために他のピンよりもやや長くできていて接続の際にまず1ピンが接続されGND(アースライン)が確保されるようになっている。が
 このコネクターはプッシュ式のロック機構が付いており、外れにくく壊れにくいためにオーディオ用の標準コネクターとして使われるようになった。
 バランス伝送で使用するのはXLR3という3ピンの物で、2チャンネルステレオ用に使用するのは5ピンの物である。
 XLRコネクターの中でも3ピンの物はオーディオ用に普及しているためにITTキャノン社以外にもノイトリッック・アンフェノール・スイッチクラフト、日本のヒロセ電機等の物がある。
 XLRコネクターには奇数番号が付いている通称雌と偶数番号が付いている通称♂とがある。
雌コネクターは電極が直接触れないように穴の奥にある。
♂コネクターには中にピンが出ている
バランス伝送に使う2心シールドの両端に付けるXLRコネクターは雌側がXLR-3-11、♂側がXLR-3-12である。
 マイクの出力に付いているのはXLR-3-12で、XLR-3-11と接続できる。
 アンプのマイク入力はXLR-3-31(31番は機器取り付けよう雌コネクター)で、XLR-3-12と接続できる。
 XLRこねくたーの接続では♂側コネクターの内周に1カ所凹んでいる部分があり、これと雌側コネクターの外周に1カ所出ている部分と合わせてはめ込むことができる。
ピンの並びは、この内周と外周に1カ所ずつあるガイド部分から最も遠い部分のピンを1として、以下のように決められる。
3ピンの物では1ピンと隣り合うピンが3、その隣が2である。
3ピン以上では1ピンの隣が2ピン、その隣が3ピンというように隣にゆくほど番号が増えてゆく。
 アンプのマイク入力コネクターからはコンデンサーマイクを使用する際の48Vファンタム電源を供給するために、雌コネクターを使用してコネクターの電極に触れられない構造になっている。
 XLRコネクターの外側の金属部分は内部で1ピンと接続しておかないと手で触った場合にノイズを拾ってしまう。
 現在では統一が進み、3ピンのXLRコネクターでは2番ピンがホット、3番ピンがコールドであるが古い機材では3ピンがホットの物もあり、さらに放送局仕様の機器ではマイクアンプの受けが♂(機器取り付けよう♂コネクターXLR-3-32)の物もある。この場合はファンタム電源は供給できない。
 バランス出力のダイナミックマイクをアンバランス接続のアンプで使用する場合は1ピンと3ピンを共通にしてアンバランス接続で使用する。
 コンデンサーマイクではファンタム電源をミキサーから供給するために1ピンをGNDとして2ピンと3ピンに+48vを加えるような設計になっているためにこのような接続はできない。
 XLRコネクターではITTの物は工業用として発展してきたために品種は少ないが、もともとオーディオ用として開発されたノイトリックやスイッチクラフトの物では金メッキのピンを使用した物や防水仕様の物などもあり、現在スタジオで広く使用されている。
 1本で2チャンネルステレオ信号を送る際に使用されるXLR-5-11とXLR-5-12コネクターの接続は1ピンがGND、2がLホット、3がlコールド、4がRホット、5がRコールドである。やむを得ずアンバランス接続しなければならない場合は、左右のクロストークはかなり悪化するが、1・3・5のピンを共通にして使用する。ファンタム電源は絶対に使用しないこと)

ケーブル

 音響用ケーブルは種類も多く、普及品から超高級品まで金額の幅も広いが、スタジオやプロ用現場で使用されているのはメーカーで言えばベルデン・カナレ・モガミである。
楽器やリスニング用オーディオ機器では単心シールドによるアンバランス接続が、マイクやスタジオ機材では2心シールドによるバランス接続が使用される。
また、最近のスタジオやステージではパソコンをはじめとするディジタル機器が使用されたり照明をコントロールする調光器等ノイズ源が増えたためにこれらのノイズの影響をできるだけ減らす目的で、4心シールドケーブルを使用して、対角線上の心線の2本つつを一緒に使用し、2心シールドケーブルのように扱うことも行われている。むしろステージやスタジオの中のケーブルの長距離引き回しは4心シールドケーブルで行うのが当たり前になりつつある。
4心シールドケーブルではホットとコールド間の容量が大きいために20kHz以上の高域の減水も増えるがノイズをキャンセルできるために普及している。
 ケーブルの直径は標準的な物が6mm、テレビスタジオではできるだけカメラに写りにくいように5mm以下の物を使う。
 同じ太さのケーブルでもマイクケーブルと機材間やスタジオ間を引き回す物とでは材質が異なる。
 マイクケーブルは屈曲性が高い柔らかな素材でできており、シールドも柔軟性の高い編組の物が多い。
 これに対して機材間を接続するケーブルは柔軟性を犠牲にしても広域まで減水しないような無酸素銅(OFC)等の素材を使用しており、シールドも編組ではなくアルミラップを巻いて外部の影響をできるだけ受けないようにした物が使用される。
 なお、高価なケーブルは線に銀などの高価な素材を使っている物もあるが、銀線はやや個性のある音になることがあるので高価なケーブルなら良いとは限らない。
 4心シールドケーブルには4色の被覆線がシールド中に通されている物もあるが、ノイズを減らす目的で2心ケーブルのように扱われる物は4本の被覆線が2色に分かれてシールド中に通されており、同じ色を一緒にして同じピンに接続する。
 この場合は、色は青が2本、白が2本となっている場合が多く、青がホット、白がコールドとなる。(赤が使われていないことに注意)
 単心ケーブルはTSフォーンプラグやRCAピンプラグを接続して使われることが多く、心線とシールドとの間の容量が音質に著しい影響を与えてしまうために被覆絶縁材料が重要なポイントとなる。
☆ (ケーブルを選ぶ際の注意
 マイク用ケーブルの中には強度を高めるために心線とシールドとの間に布製の糸を通したり、鋼鉄製のワイヤーを通した物もある。これらは強度は著しく高まるがワイヤーを通した物では音質に悪影響があるものもあるので注意が必要。
 また、以下のようなケーブルが1カ所でもあると音響システム全体の品質低下を招いてしまうので注意が必要。
1 機材やマイクを両端に接続した状態で音量を上げてゆき、ケーブルを手で巻いたり動かしたりした際に「カサカサ」というようなノイズが出るケーブルはどんなに音質が良くても絶対に使用しない。(入力側がマイクなどの機材を接続しないオープン状態の場合は音量の大小はあっても「カサカサ」ノイズがでることがある。)
2 けーぶるを手で握ったり巻いたりした場合に「ブーン」というノイズが増える場合はそのケーブルの使用をやめるか、GNDラインを別に設けてノイズが止まるようにする。
3 コネクターの金属部分を触った際に「ブーン」というノイズが出る場合はそのコネクターの金属部分がGNDから浮いているのでコネクターの内部配線をし直すか別の線で直接GNDラインを設ける。
 ケーブルは安価な物でもケーブルメーカーとしてスタジオやホール等で使用実績の多い物を使用する。(ここで「スタジオ等」とはどのミュージシャンが使っているとか何処の録音現場で使用しされているとかいう事ではなく、多くのスタジオ機材施工現場や放送現場で使用されているということである。)

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