先ずはここから始めよう!/演習を通して自分のトークスキルを客観的に判断する
演習を通して自分のトークスキルを客観的に判断する
本性の目的は、実際の演習を通して自分の能力を客観的に確かめ、今後の学習を進める上での参考となる材料を得ることである。
本稿の目次
放送の特徴を知る
インターネットラジオに限らず、放送においては、放送をする人が送り手であり、リスナーは受手であるのが基本だ。
リスナー参加型の番組であっても、まずはこちらからある一定量の内容を発信し、その内容をきっかけとした、リスナーとのコミュニケーションによって番組を進めるのが普通だ。
個人の行うインターネットラジオ番組には、この「リスナー参加型」が多いことから、この携帯を視点に話を進めると、すなわち番組を製作するためには、「相手の反応を得ること無く、ある一定量の内容を発信する」ことが、まずは必要となる。複数人で番組を進行する場合など、状況が異なる場合もあるが、一人での番組製作を学習することから始めれば、複数人での番組製作には、比較的容易に対応できるスキルが身につくはずだ。
音声のみの放送には、リスナーとの資格情報を通じたコミュニケーションが成立しないというもう一つの特徴がある。
アメリカの心理学者「アルバート・メラビアン」が、1971年に提唱した「メラビアンの法則」によれば、話者が徴収に与えるインパクトの55パーセントを見た目や表情、仕草や視線などの資格情報が支配するといわれる。
こう言ってしまうと、資格情報を利用できないことが、あたかも悪いことのように思われがちだが、資格情報を使わないことで、逆にリスナーの想像力をかき立てたり、何かをしながらでも気軽に聞けるなどの、多くの利点もある。
これらの放送の特徴を生かした番組作りをするために、資格情報を利用しないで一定量の内容を伝える練習が必要である。
練習1 誰もいない部屋で一人で5分間話す
「相手の反応を得ること無く、ある一定量の内容」を、「資格情報を用いず」に話す練習を行う方法として、誰もいない一人の部屋で、一定の時間、話し続けてみることから始めるのが最も手軽で効果的だ。
【用意する物】
- 一人になれる空間
- 自分の部屋が無いなどで用意できない場合はカラオケボックスが安価で手軽
- ストップウォッチまたは秒単位の時間が分かる時計
- 携帯電話やスマートホン、パソコンなどの時計表示でも見やすければ可
- 字数カウントのできるエディターまたは400字詰め原稿用紙
最初に話す内容を準備する。これまでに学習した番組の対象者、目的、コンセプトを満たした物が望ましいが、難しい場合は、話題の引き出しから適当な物を選択するか、リスナーへの自己紹介でもなんでもいい。5分間話し続けられる物を選ぶことが大切だ。
次に、一字一句を正しく記した完全な原稿を用意する。なお、NHKのWebサイトに寄れば、人前で話す場合の原稿の量として、1分間で400字詰め原稿用紙1枚弱と書かれているので、5分間では、4枚半を超えるぐらいがいいだろう。
人前で時間制限のある中、話す経験を多くされている方は、話す内容を順番に箇条書きにしたメモを用意する。
次に、自分の自然なスピードで、その内容を読んでみよう。1回ごとに時間を計り、何度か繰り返す。どうしても短すぎる場合や、長すぎる場合は、内容に修正を加えながら、間を取りすぎないように、かつ、5分程度になるまで繰り返して行う。
相手を退屈させない話し方をする上では、「適度に間を取って話すこと」は重要だ(詳しくは次章参照)。
しかしながら、長すぎる間には、別の大きな問題が存在する。
ラジオ放送においては、放送時間中に途切れること無く音声信号を送り続けることが重要で有り、ある一定時間無音状態が続くと、放送事故という扱いがなされる。これは、無音状態が、受信機の不具合による物なのか、放送局の不具合による物なのかを、リスナーが確認できないことに理由がある。インターネットラジオ放送においても、無音状態はリスナー側に同じ問題を及ぼすので、避けなければならない。
生放送においては、BGMの無い状態で言葉に詰まり、間が開くと、即刻放送事故に繋がるので、多くとも5秒以上の間を開けずに話せるようになるまで、根気強く練習をする。
このように、実体験を通して学んでみると、話し続けることは「5分」という時間から抱く印象以上に難しいと感じることだろう。
用意した内容について、5分間で話せるようになったら、話題の引き出しから別の内容を取り出して、あと2回ぐらい「違う内容で同じ練習」を繰り返して欲しい。練習するごとに、5分間という時間を上手に使えるようになるはずだ。
なお、この作業こそが、実際の番組製作における原稿書きと下読みの段階に当たる。
練習2 録音した物を他の人に聞いて貰う
練習1で、間を取りすぎること無く、一定の内容を5分間で話せるようになったら、それを録音して、他の人に聞いて貰い、その完走を尋ねてみよう。
できる限り、自分がこれから製作しようとする番組の対象者に近い属性の人に聞いて貰う必要がある。
次の点を聞いて。メモを取る。
- 内容についての感想
- 良かった点とその理由
- 改善すべき点とその理由
- 言葉の聞き取りやすさや間の取り方などの内容以外についての感想
- 良かった点とその理由
- 改善すべき点とその理由
聞き手の数が多ければ多いほど、多くの感想を得られるだろう。
重視すべきは、「内容についての感想」である。
良かった点が多く上がれば、その内容は対象者に好印象を与える物なので、改善すべき点を考慮した上で、番組に利用できる。
少ないながら良かった点の上がった物は、それらの人々には、好印象を与えられる内容といえる。
利点が全く上がらなかった内容については、残念ながら対象者には受けの良くない物なので、いわば「没ネタ」となる。
言葉の聞き取りやすさや間の取り方についての感想は、今後の学習の参考になるので、大切に保管しておく。