アナウンスのトレーニング/日本語の基本音節と発音練習
日本語の基本音節と発音練習
ここでは、日本語の一つ一つの音節を、はっきり発音できるようにするための練習法を解説する。
本稿の目次
日本語の音節とは
音節とは、ある言語で、ひとまとまりの音として意識され、発音される単位をいい、日本語では、ほとんどの場合、かな1文字が一つの音節を表す。
聞き取りやすい言葉を発するためには、一つ一つの音節をきちんと発音することが大切だ。
日本語音節の分類
実際の口の体操を始める前に、母音と子音について解説する。
試しに、ア行の音を一つ一つ、伸ばして発音してみていただきたい。
あーーーー・いーーーー・うーーーーー・えーーーーー・おーーーーー
これが日本語の発音の基本となる「母音」である。どの音も口の開け方によって、違った音になるため、正しい口の開け方を身につけておくようにしたい。
次に、カ行の音も同じように試してみる。
かーーーーー・きーーーー・くーーーーー・けーーーーー・こーーーーー
語尾が先ほどの母音の一つ一つ、「あ・い・う・え・お」となる事に気がつくはずだ。この語尾を覗いた頭の部分を「子音」という。
次に、「が・ぎ・ぐ・げ・ご」や「ば・び・ぶ・べ・ぼ」などの濁って発音する音を「濁音」といい、「ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ」などの書くときに丸が付く音を「半濁音」、「しゃ・しゅ・しょ」や「ちゃ・ちゅ・ちょ」などを「拗音」という。
このような音は、いずれも特にはっきりと発音しなければ、歯切れの良い音にならない。また、半濁音については、唇を閉じて破裂させるように開けることが大事だ。
拗音については、はっきりと発音しないと赤ちゃん言葉のように聞こえる可能性がある。
これらの音の他に、「鼻濁音」という、濁音を鼻にかかった形で発音する音がある。最近は、濁音と同じように発音してしまっている場合が多いが、鼻濁音は言葉に暖かみと柔らかみを与えるための重要な要素である。「音楽」や「はがき」などの「が」は、いずれも本来は鼻濁音だ。また、「猫が来た」などの、助詞の”が”も、鼻濁音である。
口の体操
それでは、早速、基本姿勢を取り、鼻から息を吸い込んで、次の文字や文章を何度も発音して、口の体操を行う。
なお、純粋な日本語の音節には含まれない物がいくつか存在するが、現在の世の中では、多くの外来語が使われており、それらの一般的なカタカナ表記や発音が存在するため、それらも加えた練習とした。
中点で区切ったところは一文字一文字間を取りながら、文章ははっきりと発音する。
ア行の練習
- あ・え・い・う・え・お・あ・お
- あえいうえおあお
- 合う
- 言う
- 馬
- 駅
- オオカミ
- 赤い色鉛筆で海の絵を大きく書いた
- 青い家の上の屋根
- 青い海へ行く
家業の練習
- か・け・き・く・け・こ・か・こ
- かけきくけこかこ
- カマキリ
- 菊
- クヌギ
- 獣
- 駒
- 紅葉の景色
- 柿の木のくぼみを転ばないように蹴る
- きれいな菊の花は、この景色に溶け込んでいる
サ行の練習
- さ・せ・し・す・せ・そ・さ・そ
- させしすせそさそ
- さくら
- 島影
- 硯
- 世界
- ソテツ
- 水量の多い清流
- その人の背中の雀を指さす
- 清潔な水流でそのさらをそっとすすぐ
タ行の練習
- た・て・ち・つ・て・と・た・と
- たてちつてとたと
- 高い
- ちくわ
- 机
- 手紙
- 床屋
- 地上に高く作られた鉄筋の建物
- 友の机の上のちりを畳に手で落とさないように
- 近くの床の間の積み木を手で高く積み上げる
ナ行の練習
- な・ね・に・ぬ・ね・の・な・の
- なねにぬねのなの
- 仲間
- 日本
- 塗り絵
- 猫
- 野原
- 仲間のぬくもり
- 姉さんは、二枚の封筒の中側にのりを塗る
- 庭の向こうの野原のネムノキを抜く
ハ行の練習
- は・へ・ひ・ふ・へ・ほ・は・ほ
- はへひふへほはほ
- 袴
- 光
- 袋
- 平和
- 朗らか
- 畑の方で、母が一人で笛を吹く
- 晴れの昼間は日当たりのいい部屋で本を読む
- 冬の寒さがひりひりとほおに指す
マ行の練習
- ま・め・み・む・め・も・ま・も
- まめみむめもまも
- 豆
- 味噌
- メモ
- ムカデ
- 森
- 見る見るとまめに働く森の村人
- 燃える緑の牧場に目を向ける
- 真向かいに見えるメダカの模様
ヤ行の練習
- や・え・い・ゆ・え・よ・や・よ
- 夜景
- 夜
- 夕立
- 良い夕日の山
- 雪の山の夕暮れ
ラ行の練習
- ら・れ・り・る・れ・ろ・ら・ろ
- られりるれろらろ
- 落語
- リンゴ
- 瑠璃色
- レンゲ
- ろうそく
- 楽な類語の例文を、隣室で録音練習
- 留守の隣人に連絡を取る
- 隣国の流浪の民
ワ行の練習
- わ・え・い・う・え・を・わ・を
- わえいうえをわを
- 私は、幸せです
濁音の練習
1)ガの行
- が・げ・ぎ・ぐ・げ・ご・が・ご
- がげぎぐげごがご
- 画家
- 技師
- 軍配
- ごま
- 玄関
- ごまばかりで我慢の限界
- 豪雪にたたずむ群衆
2)鼻濁音
- が・げ・ぎ・ぐ・げ・ご・が・ご
- がげぎぐげごがご
- 3月
- 音楽
- 右左
- 雷雲
- 青梗菜
- 国語
3)ザの行
- ざ・ぜ・じ・ず・ぜ・ぞ・ざ・ぞ
- ざぜじずぜぞざぞ
- 材木
- 自立
- 随筆
- 全体
- 草履
- ずいぶん贅沢に時間を使う
- 自分の草履
4)ダの行
- だ・で・ぢ・づ・で・ど・だ・ど
- だでぢづでどだど
- 大学
- 出口
- 銅像
- 出玉
5)バの行
- ば・べ・び・ぶ・べ・ぼ・ば・ぼ
- ばべびぶべぼばぼ
- 倍率
- 微少
- 文学
- 別格
- 冒険
半濁音
1)パの行
- ぱ・ぺ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ・ぱ・ぽ
- ぱぺぴぷぺぽぱぽ
- ぱらぱら
- ぴりぴり
- ぷるぷる
- ぽろぽろ
- ぺらぺら
- パンダ
- ピンク
- プリント
- ポラロイド
2)キャの行
- きゃ・きぇ・き・きゅ・きぇ・きょ・きゃ・きょ
- 客間
- 休暇
- 興味
3)シャの行
しゃ・しぇ・し・しゅ・しぇ・しょ・しゃ・しょ
しゃしぇししゅしぇしょしゃしょ
- 車掌
- シェーク
- 修復
- 勝利
4)チャの行
- ちゃ・ちぇ・ち・ちゅ・ちぇ・ちょ・ちゃ・ちょ
- ちゃちぇちちゅちぇちょちゃちょ
- 茶釜
- チェーン
- 注目
- 貯蓄
5)ニャの行
- にゃ・ね・に・にゅ・ね・にょ・にゃ・にょ
にゃねににゅねにょにゃにょ - 般若
- 入社
- 女人
- 猫がにゃんと鳴く
6)ギャの行
- ぎゃ・げ・ぎ・ぎゅ・げ・ぎょ・ぎゃ・ぎょ
- 逆接
- 牛乳
- 行列
☆この行には鼻濁音があります。 - 水牛
- 漁業
7)ジャの行
- じゃ・じぇ・じ・じゅ・じぇ・じょ・じゃ・じょ
- じゃじぇじじゅじぇじょじゃじょ
- ジャガイモ
- 乗馬
- 順序
8)ヒャの行
- ひゃ・へ・ひ・ひゅ・ひぇ・ひょ・ひゃ・ひょ
- 百人
- ヒューマン
- 評価
9)ミャの行
- みゃ・め・み・みゅ・め・みょ・みゃ・みょ
みゃめみみゅめみょみゃみょ - 脈拍
- ミュージック
- 冥利
10)リャの行
- りゃ・れ・り・りゅ・れ・りょ・りゃ・りょ
- 略語
- 料理
- 留学
11)ビャの行
- びゃ・べ・び・びゅ・べ・びょ・びゃ・びょ
- 白夜
- 病院
- デビュー
12)ピャの行
- ぴゃ・ぺ・ぴ・ぴゅ・ぺ・ぴょ・ぴゃ・ぴょ
- 別表
- ぴょんぴょん跳ねる
音声解説
音声による解説をお聞き頂けます。
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